【ミルスケール除去】鉄板の製造にも！圧延機とステンレスについて

熱間圧延について

約1000～1200度以上の温度で金属を圧延する加工法です。金属を高温にして軟化させることによって、金属の結晶が緻密になり、粘り強い金属ができます。金属の変形抵抗が小さいので、加工しやすいというメリットがあります。

一方、寸法精度が落ちる、表面にミルスケールが張って黒色の皮で覆われているように見えることなども特徴です。そのままにしておくと工程で不良の原因となるため、デスケーリング処理と呼ばれる高圧洗浄機で洗い流す処置が必要になります。熱間圧延を行うには「圧延機」を使って加工します。圧延方法やロールの種類によって、使用する圧延機は異なります。

2段圧延機

2本のワークロールで金属を挟み込んで加工する基本的な圧延機です。厚い板の圧延加工やリバース圧延加工の際に使用されます。

4段圧延機

2段圧延機のような2本のロールの裏側に、1本ずつバックロールアップがあります。バックロールアップがたわみを抑えてくれるため、精度の良い加工ができます。鋼・銅・アルミの加工をはじめ、ストリップミルの仕上げ圧延機としても使用されています。

クラスターミル

4段圧延機よりもさらにバックロールアップがついており、ワークロールのたわみを高い圧力でかけられます。そのため、硬いものや銅箔などの薄い冷間圧延に使用されています。

ストリップミル

複数の圧延機を並べた「連続圧延機ライン」の総称です。製鉄所など、鉄鋼を大量生産する場所で使用されています。ホットストリップミルでは熱したスラブを2段圧延機で伸ばし、さらに4段圧延機で数ミリに仕上げて加工されます。

マルテンサイト系

主成分がクロムと炭素で、焼き入れによってマルテンサイトという硬い金属が変わります。ニッケルが含まれていないため、安価です。ただし、サビやすく耐食性も劣ります。ポンプ、シャフト、ノズル、ナイフ、包丁などにも使われています。

フェライト系

主成分はクロムで、常温でもフェライトという金属組織になります。ニッケルを含まないので安価です。また、マルテンサイトよりも耐食性は強く、厨房用品や建築内装自動車の部品などに使用されています。

オーステナイト系

主成分はクロムとニッケルで、常温でもオーステナイトという金属になります。耐食性や高温・低温での特性に優れており、現在使用されているステンレスの60％のシェアを占めています。加工しやすいので家庭用品、建築用品、自動車用品、化学プラント、食品工業など、幅広い業種で使用されています。

オーステナイト・フェライト系

オーステナイト系とフェライト系、両方の特性を有しています。主成分はニッケルとクロムです。加工が難しいため、家庭用品には向いていません。耐食性に優れている特性を活かして、海水用復水器や熱交換器などの公害防止機器、各種化学プラント用装置に使用されています。